Into the wild

ジョン・クラカワーの「空へ」と言う本は単行本・文庫共に今も絶版なのだろうか。3年ほど前に「空へ」の単行本を9000円近くで販売した事がある。今でも時々売れていく。最近は同著者の「荒野へ」という文庫本が良く売れていた。
最近余り手に入らなくなったなと思っていた。そんな時だった「Into the wild」と言う映画を知ったのは。アラスカの荒野で自分を取り戻す青年の物語らしい。原作者の名前を見て納得した。ジョン・クラカワーだ。
「Into the wild」日本語にすれば「荒野へ」なるほどそういうことか。
小説が映画になると、原作である本の人気が上がり、古本の値段も上がる、手に入りにくくなる、ますます、値段が上がる。
ジョン・クラカワーは自身登山家のせいか、大自然の中での人間ドラマをフィールドにしている。映画などめったに見ることの無い私だが、珍しく興味を持った。
富山ではやっていない。長野でもやっていない、山梨でもやっていない。東京では都心の映画館1館のみ、神奈川でも1館のみ。それも1日1度しか上映しない。かなりマイナーな映画らしい。こうなると、不思議なもので、なんとしても見たくなる。
私は神奈川県の鶴間にある109なんとかと言う駐車場のあるシネコンに足を運んだ。勿論、そのために富山から神奈川に出かけたわけではない
。仕入れのついでのことだ。
平日のシネコンに、上演20分前に着き、上映室に入る。私以外に1人しかいない。それでも上映時間直前には30人くらいの観客が席についていた。私以外は全て女性だった。
父に代表される社会の欺瞞に反発した裕福な家庭の青年。
大学卒業後家族の期待に反して全てを捨てて家を出る。
文明の対極にある自然に答えを見出そうとする青年は幾多の冒険の末、アラスカに向かう。途中で出会う人々との小さいが重要なエピソード。
青年は、ついに荒野にたどり着き、荒野の与えてくれるものを糧に自分を見つめ続ける。
かつて、上温湯隆と言う青年は「サハラを目指し、サハラの砂に消えた」。アラスカであれサハラであれ大都会であれ青年は常に旅に出るものなのだろう。旅に死すもの。パック旅行の旅に終わるもの。旅の先に何かを掴んで帰ってくるもの。永遠の旅に彷徨い続けるもの。
アラスカの大自然に青年が見つけたものは、何なのか。
Happiness is only real when it is shared.
青年の言葉だ。
Who is it shared with?
What is it shared with?
私は、そんな風に問いかけてみたかったが、青年の言葉の先にあるのは明らかに Who だろう。
その Who に旅の答えを見つけた青年。
その光明の先は・・・。
その先は、これから映画を見る人のためにとっておこう。

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