クロムによると8月1日に梅雨明けしたんだって。とにかく暑い。暑すぎる。昨日の最高気温が38度を超えたって言ってたよ。7月はとっても過ごしやすかったのに突然の汗。僕は暑いのが苦手なんだ。特に我が家にはクーラーというものが無い。ローズもサキもクロムにお願いするんだけど、クロムがうんと言わない。夏は暑いから夏なんだ。暑いからソーメンがうまいんだ。暑いから春夏秋冬を肌で感じられるんだ。と勝手な事を言ってる。そんな事、外に出ればいくらでも感じることができるんだから、せめて家の中だけでも涼しくして欲しい。クロムだって汗で服がびっしょりじゃないか。もっと素直になってもいいと思うんだけどな。森の生活にクーラーは似合わないって言ったって、暑い時は暑いんだから
。
しょうがないので、僕は家の中で一番涼しい場所でゴロンとしてる。夕方になると、森のほうから吹いてくるそよ風をじっと待ってるんだ。家の中で一番涼しい場所は、玄関に行くドアの前。ちょうど家の真ん中にあって一日中日陰の場所。5cmの床板の下には10cmのコンクリートが打ってあって、夏の暑さもなかなか忍び寄れない場所なんだ。僕が何時もそこにいるから、ローズもサキも僕と同じ場所でよく寝転がってる。僕のことを涼しさ発見器と呼んで、後をついてくるんだよ。
クロムは子供達の寝床をロフトに作ったんだけど。ロフトのあたりは真夏になると40度近くになるんだよ。寝ようたって、寝れるわけがないよね。だから、サキは夏になると1階のリビングで寝てる。
サキは中学3年生で、受験勉強をしてるんだ。友達は塾の夏期講習に行ってるらしいんだけど、サキは塾に行ってないから昼間は図書館に行って勉強してるんだ。サキが教えてくれたんだけど、図書館はとっても涼しくって、インターネットとか言うくもの巣のようなひげもあって、最高なんだって。僕も連れて行ってもらいたいんだけど、猫は入れないんだ。
ローズもクロムもクーラーのある家には一度も住んだ事が無いんだって。クロムのジムニーなんかクーラーも無いし、ラジオも聴けないらしいんだ。どうやら僕はとんでもなく貧乏な家にもらわれて来たみたいだ。本がたくさん売れてクーラーが買えるといいんだけど、この調子だったら、お金があってもクロムはクーラーを買ってくれないかもしれない。ストーブだって1台しかないのに、なんでパラグライダーとか言う空飛ぶ翼が3つもあるんだ。そんなもの買わないで、クーラーを買うのが人の道というものだと思うんだけどな。そんな事猫の僕にでも分かるのに、クロムってどこかの総理大臣と同じでちっとも空気ってやつを読めないんだ。ローズとサキと一緒に問責決議案を提出するしかないかもしれない。謎の古本屋さんからも是非一言言ってやってください。
コメント