いつものようにローズのベッドで一緒に寝ようと思って、ローズの足の間にはまり込んだんだ。そしたら突然ローズが言ったんだ「プーは本当にたっぷりで、どっしりだね」って。すると、突然クロムが笑い出したんだ。いったい何がおかしいんだか分からない。それで、次の日クロムに聞いてみたんだ。「たっぷりで、どっしりって」どういう事って。そしたら「プーはデブで重いって事だよ」ってクロムが言うんだ。「デブ」って「太ってるって事」って聞くと。「まあ,そういう事だな」って。
ひどいよローズ。「太ってる」っていったらローズだって、僕のことを言えた義理じゃないと思うんだけど、なんでそんなひどい事言うんだろう。さっき鏡を見てきたんだ、確かにおなかの辺りはちょっとだぶついてるけど、顔は子どもの頃と同じように三角形で、決してまん丸じゃない。キャット空中3回転だってやろうと思えば、多分できる。多分・・・ね。僕は、ちょっと悲しい気分になったんだ。大好きなローズが僕にそんな事言うなんて。冬の間はクロムと一緒になって僕の奪い合いをしていたくせに、手のひらを返したような僕に対する仕打ち。ひどすぎる、絶対にひどすぎる。
今日は、いつもなら全部空っぽにするご飯をちょっと残しておこうかと思ったんだけど、気がついたら全部食べちゃってた。悲しくてもお腹はいつもと同じようにすくからね。今日はケンタッキーのフライドチキンも食べちゃった。
夕飯の後、僕が部屋の隅でうつむいていると、クロムがやって来て言うんだ。
「ローズはプーのこと大好きなんだよ、だから、元気だしなよ」って。
「でも、何でローズは僕の事を「たっぷりで、どっしり」なんて言うの」
「それはね、ローズがプーの事を大好きだからだよ」
「でも、どうして」
「プーは森の中にある大きなブナの木を見たことがあるかい」
「あの太くて大きくてこんもりした木」
「そうだよ、あの太くて大きくてこんもりとした木」
「うん、僕はあの木がお気に入りなんだ、雨の日でもあの木の下にいれば濡れないし、暑い日でもあの木の下にいれば涼しいんだ、あの木に下にいるとなんだかとっても落ち着くんだよね」
「プー、あの木もたっぷりで、どっしりしてないかい」
「うーん、そう言われてみれば、たっぷりで、どっしりしてる」
「プーは、あの木の下にいるととっても落ち着くって言っただろ。あの木が「痩せてて、ひょろひょろ」だったらどうだい」
「それじゃ困るな、雨に濡れちゃうし、涼しくないし、落ち着かない」
「たっぷりで、どっしりしているから、あの木の下でプーはとってもリラックスできるんじゃないかな」
「うん、確かにそうかもしれないな」
「ローズはそんな気持ちで、たっぷりで、どっしりって言ったんだと思うよ。あんまり、プーにぴったりの言葉だったから、私も思わず笑ってしまったんだ」
なんだか、クロムにだまされてるような気もするんだけど、そういわれると、たっぷりで、どっしりも悪くないなと思えてきた。
「じゃ、たっぷりで、どっしりでもいいんだね」
「勿論だよ、たっぷりで、どっしりだからプーなんだ」
そうか、僕はたっぷりで、どっしりなんだ。それが僕なんだ。よし、今夜は思いっきりローズの足にもぐりこむぞ。