当店は、主にアマゾンマーケットプレイスという所で古本を販売しています。注文主様はさまざまで、一般の方が最も多いのですが、大学や研究所、テレビ局、出版社、同業者等。色々な方が色々な事情で古本を探しているのだなと改めて思い知らされます。
最近、大手の古本屋さんから注文がありました。ちょうど2日ほど前にその古本屋さんに興味を持ち、インターネットサーフィンをしながら情報を集めていたので、タイムリーな出来事に少し驚きました。インターネットを介して古本屋が古本を買うことを電脳せどりというそうです。勿論、せどりではなく、単なる参考文献としてご購入されたのかも知れません。
私の店はまだ、駆け出しのはなたれ小僧のような店ですが、その店は、古典籍(江戸時代以前)の収集や保存に力を入れていると同時に、ITの導入も進められている伝統的革新古書店です。古き良き時代を知ると同時に、厳しい時代も乗り越え、古書店として確固たる地位を築いている店です。そんな店が、電脳せどりをやっている事も驚きですが、注文いただいた本の内容にも意外さを感じました。
古典籍や人文系の堅いイメージがあったその書店からの注文は「戦後の少女マンガの歴史」に関する絶版書籍でした。ほぼ、同じ内容のものが文庫化されているので、内容だけを求めるならば、必ずしも私どもが出品している1万円を超えるような初版物を求める必要は無いわけですが、あえて初出の初版物に投資してくる古本屋の意気を感じてしまいました。「少女マンガ」という所はちょっと意外でしたが。
最近は、コミックの値崩れが激しく、古本の買取にうかがっても二の足を踏むような事も有ります。特に「少女マンガ」は鬼門で、ほとんどお金になりません。しかし、少女マンガも歴史という観点から、昭和20年代、30年代のものには、なかなか面白いものもあるようです。
私どもは古本屋といっても、新古書店に近く、新しく綺麗な本の販売が中心ですが、古本屋としての修行を積むにつれて、昭和初期、大正、明治、江戸と、時代を遡って本の森に少しずつ分け入って行くのだと思います。ちょっと心がわくわくしてきます。とりあえず、今は昭和初期、中期の古本の世界に少しずつ近づいていこうと思っています。
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