「創育の森」が私どもの屋号です。
古本屋としては、あまりピンとこない屋号かもしれませんね。
それもそのはず、創育の森という屋号は、もともと古本屋としての屋号ではありませんでした。
詳細は、ここでは書けませんが、この名前で以前は別の事業をやっていました。
古本屋になった今も、思い入れのある名前なのでそのまま使っているというわけです。
それでも私なりにこの屋号に古本屋としての思いはあります。
文字という精神文化のメモリー装置が発明されてから、日本だけでも、ユニーク数で数百万という単位の書籍が世に出ています。正に「森」に相応しい膨大な数です。一人の人間が一生に経験し思考する世界は、極、極限られたものです。勿論、経験や思考は、それがたとえ限られたものであれ、真理の水脈に通底する深さまで掘り下げられれば、それはそれでパーフェクトなものです。しかしながら、凡夫の私達にとって、自らそれをなす事は至難の技といえるかもしれません。そんな私達でも、本という「森」の奥深くに足を踏み入れ、自らの精神を「創(削り」「育(育て)」る事によって、いつしか、森の滋養でしっかりと根を張り、その地中深く伸びた根の先端が、万物に通底する水脈を感じる日が来るかもしれない。そんな事を思いながら、「創育の森」という屋号を眺めています。
私も、屋久杉とまでは言いませんが、県木である立山杉のように、古本という世界にしっかりとした根を張って生きていきたいと日々励んでいます。