日産バネットの燃料タンク

本を600冊も積んだら身動きできなくなるジムニーから、日産バネットに乗り換えて間もなく1年。積める本の数は3000冊と約5倍。そして、初めてのオートマチック。燃費を安くとディーゼルにしたはずなのに、何故か軽油がリッター160円。1年前のハイオクなみだ。
いよいよ石油も枯渇し始めたのかと思ったら、どうやらそうでもない。金持ち父さんたちのお金が、株からオイルに流れての騰貴らしい。
自分で働くのは「貧乏父さん」で金を働かせるのが「金持ち父さん」。
そんな内容の本をもう100冊以上売ったような気がする。「サラリーマンでも大家さんになれる」という本もまさに同系統の実践本なのだろう。
私の方は、相変わらず、タオルを首に巻き額に汗する貧乏父さんだ。
日産バネットは中古で80万。本当はトヨタのハイエースが欲しかったが年式の新しいものは200万近くする。落ち着くところはバネットだった。2200CCディーゼルというところに一抹の不安はあったが、背に腹は変えられない。
以前、ジムニーに乗っていたときは、荷物満載でもそこそこ走れた。ところがバネットではそうは行かなかった。荷物満載で高速を走ると、坂道ではアクセルべた踏みで法定最低速度の60kmがやっと。峠で遅いトラックを抜こうにも、こっちの方が遅いのだから話にならない。ここ1年ほど「ヒヤッ」とすることもなく、すっかり安全運転の模範ドライバーになってしまった。燃費は空荷でリッター12km、本を目一杯積んでリッター8km。燃料タンクが40リッターほどしかないバネットは300kmも走ると給油タイムがやってくる。
深夜の事だった、名古屋からの帰り神岡の近くで給油ランプが点灯。戻って燃料を入れようかと思ったが、神岡に行けば何とかなるだろうと思って帰路を急ぐ。お目当てのガソリンスタンドの明かりは消えていた。考えてみたら名古屋でもあるまいし、深夜の11時近くに田舎のガソリンスタンドがあいているはずが無い。迂闊だった。今更、飛騨まで戻ってもガソリンスタンドが開いているとは限らない。しばらく走れば下りが続くから何とかなるだろうとそのまま山道を突き進む。
富山県に入り、道の駅「細入」に着いた。メーターはゼロを指している。家まであと20km。燃料が3リットル残っていれば何とかなる。でも、もしガス欠になったら面倒だ。ガソリン車と違いディーゼルはガス欠になった時、燃料を入れても走らない。「水抜き」か何かをしなくてはいけない。以前ビッグホーンという車に乗っていた時、修理屋を呼んで3万円ほどかかった記憶がある。
弱ったな、もう少しなんだけど。
そんな時、タバコ飲みは、車を止めてタバコをくゆらす。
それは、冬の事だった、エンジンを切った室内は急激に冷えてきた。途中でガス欠になれば、修理代だけでなく、へたをすると凍え死にするかもしれない。かといって、このままエンジンをかけないでいても凍え死にする。
少し行ったところに明かりが見える。車を横付けして、明かりのある建物を見た。
除雪基地。
早朝の除雪に備えて2,3人の男性がテレビを見ながら待機していた。除雪車はディーゼル車だ。
「軽油ありませんか」
「ないよ」
キムタクのドラマに出てくるスナックのマスターなら必ず「あるよ」って言うんだがなと思いながらかじかんだ手をさすってみる。部屋の中は温かい。
「しばらくここにいてもいいですか」
「いいよ」
妻に電話した。車で迎えに来る事になった。1時間後に軽油を入れたポリタンを抱えて妻がやって来た。ポリタンに軽油を入れるのは違反だ。妻が寄ったガソリンスタンドは燃料缶が売り切れで、事情を説明してポリタンに入れてもらったらしい。
冷え切った車に乗り込みエンジンをかける。心地良い振動が体に伝わる。薄っすら雪が積もったフロントガラスにワイパーが弧を描く。左右に足を取られる妻の車を眺めながら感謝の念を送ってみる。
気持ちが伝わったのか、妻の車が横滑りしなくなった。
町が近くなっただけの事かもしれない。
バネットの燃料タンクがもう少し大きければ。深夜に長距離を走る事が多いせいか、時々そう思うことがある。

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