僕の夢

poo.gifクロムは3年前まではほとんど家にいなかった。朝の10時から夜の10時まで、月曜から日曜まで仕事をしていて、会社の事務所で泊まりこみ、しばらく家に帰ってこない時期もあったんだよ。
ところが、3年前から毎日家にいるようになったんだ。
それから、時々、僕達の食事や水を用意してくれるようになり、僕はクロムと遊ぶようになった。クロムは物作りが好きらしく。家にいるようになってから、とっても大きな箪笥を2つ作ったし、枕木とコンクリートを使って、家の外溝工事をやったり庭作りをしたりしてる。家にある本棚も全部作ったらしいんだ。そういえば、前庭のエントランスに置いてある「創育の森」の看板もクロムが10年前に作ったらしいんだ。今じゃ、古ぼけて、足の方が片方腐って傾いてるけど、僕が生まれる前に作ったんだよね。
家の吹き抜けの梁の間には、乾燥させるために製材してきた木材が置いてあるんだけど、その木が爪とぎに最適で、よく爪を研いでるんだ。本は駄目だけど、こっちはもう諦めてるみたいで怒られない。
最近は、古本屋さんが忙しくて何も作ってないけど、ほんとは裏庭に屋根つきのデッキを作りたいと思ってるらしい。それがクロムの当面の夢らしいんだ。大分前に設計図は作ったらしいんだけど、もうどこにいったかわからなくなったみたい。相変わらず忘れっぽいんだからクロムは。クロムの夢は僕の夢でもあるんだ。密かに早くデッキができないかなと僕は心待ちにしてる。
何故かって。それはね、デッキができると、部屋から出入りする事になるわけでしょ、みんながドアを開けると、その隙に僕も外に出れるかもしれないんだ。やっぱり、外で遊ぶのは僕の夢なんだ。前も言ったでしょ「ネコ外出禁止令」の事。それ以来、僕は外に出してもらってない。この間、あんまり僕が外に出たがったもんだから、クロムが僕を抱っこして、散歩に連れてってくれたんだけど、ずっと抱っこのままじゃつまらないよね。何とか、クロムの腕から逃げ出そうとしたんだけど、その度にクロムが力を入れるから駄目だったんだ。外に出れたのはちょっぴり嬉しかったんだけど、僕の肉球で大地を踏みしめないとやっぱり実感が沸かないんだよね。
今年は、作る気は無いらしいけど、来年はきっと作ってくれると思うんだ。材料費が相当かかるらしいので、僕のためにもクロムには一生懸命働いてもらわないと。

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