僕の地球温暖化対策

太陽ってすごい。
僕はいつもそう思うんだ。
最近は少し元気が無いのか朝はゆっくり起きるし、夜はさっさと寝てしまうみたいだけど、僕は太陽が大好きだ。
東に面したリビングの後ろには小さな畑があるんだ。その後ろには、昔は耕作してない田んぼがあったんだけど、今はパークゴルフ場にするとかで埋め立てされてるんだ。そして，その向こうに山があるんだ。
夜は真っ暗。さすがの僕にも黒しか見えない。でも、真っ黒をのぞいていると、空と山の境目が少しずつ見えてくるんだ。
僕には、白と黒しか見えないから。クロムのように黒、紫、菫色に変わっていく様子はわかんないけど。山はどっしりとしたままで、空のところだけが、どんどん軽くなってくるんだ。いつもはまだらのように軽くなっていくんだけど、今朝の空は一つになってどんどん軽くなっていくんだ。こんな日は良いお天気って決まってるんだよ。まだらに軽くなる日は曇り。なかなか軽くならない日は雨なんだ。
しばらくすると、お山の背中の1点が急に明るくなるんだ。いつか見た、ニューヨークの自由の女神様の王冠のように光が四方に飛び出してくるんだよ。その瞬間、まんまるだった僕の瞳は三日月のようになっちゃうんだ。だって、まん丸のままにしておくと、真っ白しか見えないんだから。
小さな点だった光がまん丸になると、僕の体はだんだん、ぽかぽかしてくるんだ。冷たかった足先や耳が温まり、それがほっぺやお腹に伝わってくると僕はもう幸せ。ご飯を食べた後だから、サキが学校へ行く頃には目が重たくなってきて、起きたばっかりなのに又一眠りしたくなって来るんだ。しばらく我慢してるんだけど、いつの間にか眠っちゃう。
僕はそんな秋の朝が大好きなんだ。
ところが、クロムときたらそんな素敵な朝があるって事も知らないで昼前にようやく起きて来るんだよ。だらしが無いったらありゃしない。今日だって睡眠時間が12時間って、猫でもあるまいし、寝すぎじゃない。サキだって夜遅くまで起きているクロムには批判的なんだ。サキが言うには、地球人として今一番真剣に考えなきゃいけないことは、「地球温暖化問題」らしいんだ。難しい事は僕にはよくわかんないけど。二酸化炭素というのが良くないらしくて。夜遅くまで起きてると、電気を使うらしんだ。夜になると家中にともる小さな太陽は電気を使うらしいんだな。その電気というのが石油から作られていて、石油というやつが二酸化炭素を沢山出すらしいんだ。
夜遅くまで起きてる。電気を使う。二酸化炭素が出る。地球温暖化が進む。人類が生きれなくなる。猫も死ぬ。何？
どうやら、地球温暖化は僕にも影響のある重大な事らし。だから、クロムが遅くまで起きているという事は、僕の命が危なくなるって事なんだ。これははっきり言って一大事だよ。ね、みんなもそう思うでしょ。
一大事だと思って、ローズにも相談してみたんだ。そしたら、ローズが言うには、夜早く寝ろって言ってもクロムは絶対寝ないから。朝、無理やり起こすのが一番らしいいんだ。ところがクロムは寝起きが悪い。ローズが何度起こしても絶対に起きないんだ。そこでローズはもう、クロムを起こすのにうんざりしてるらしいんだ。
いよいよ僕の出番のようだな。「地球温暖化阻止」のため「人類を救うため」何よりも「猫の未来のために」僕が立ち上がるときが来たみたいだ。なんとしても、僕はクロムを起こしてみせる。なんと言ったって地球の運命が僕にかかってるんだから、責任重大だ。
ということで、僕もブログなんか書いてる場合じゃないので今日はもう寝ることにする。
おやすみなさい。