僕と雪とお日様と

リビングの天窓を何気なく見たら、真っ白になってる。
雪、雪、雪！
サキは、ずっと前から雪が降るのを楽しみにしてたものだから、夜の10時過ぎだって言うのに外に飛び出していったんだ。
雪が降るのを楽しみにするだなんて、僕にはてんで理解できないよ。
あんなに冷たいものがどうして好きなんだろう。雪の上を歩くと僕の足の肉球はちくちく痛み、ぎゅっとちじみ上がるんだよ。
サキはクリスマスを楽しみにしてて、そのクリスマスがホワイトクリスマスであるようにって祈ってるらしいんだ。「今年はサンタさんに来て欲しいな」って僕に言うんだ。僕も、雪は嫌いだけど、サンタさんには来てもらいたいと思ってる。
サキが言うにはサンタさんて言うのはクリスマスの日の朝早くにプレゼントを届けてくれるらしいんだ。欲しいなって思ってるものをサンタさんがプレゼントとしてソリに乗って運んで来てくれるんだって。
プレゼントをもらえるんだったら、冷たいけど、僕も雪が降るのに賛成だ。
サキが言うには中学生になってから、クリスマスのプレゼントはクロムやローズからもらうようになって、サンタさんから貰ってないらしんだ。サンタさんはクリスマスの日は忙しいので、中学生のところにまでプレゼントをもって来れないから、代わりにクロムやローズが渡してるんだって。
でも、僕が思うには、サンタさんが忙しいからじゃなくって、クリスマスの日に雪が積もってないから、サンタさんがソリでプレゼントを運んでこれないんだよ。きっと、サキもそう思ってるんじゃないかな。だから、サキは雪が降るのを楽しみにしてるんだよ。特にクリスマスの日に雪がないんじゃ一大事だからね。
だから、これからは、僕もサキのために雪が降りますようにって、寝る前にお祈りしようと思うんだ。ひょっとしたら僕にもプレゼントを持ってきてくれるかもしれないしね。
雪が嫌いって言ったけど、見るのは好きなんだよ。
冷えきった朝
軽くなった空から降りてくる
キラキラ光って落ちてくる
そんな粉雪を見るのが大好きなんだ。
はじめて見たときは、おいしそうだったから口をあんぐり開けて眺めてたんだ。そしたらキラキラした雪が僕の舌に落ちてくるでしょ。でも、舌の上にのったらあっという間に無くなって、食べようにも食べられないんだ。あの時は本当にガッカリしたけど。雪のキラキラは大好き。
大体、雪がキラキラな日は、窓辺に寝転んでいると、冬だというのにぽかぽかだ。そりゃ夏に比べてお日様の元気は半分以下だけど、それでもほんわかと体があったまってくるんだ。サンタさんのプレゼントもいいけど、僕にはこの時期、お日様のプレゼントが一番嬉しいな。
お日様のプレゼントはサキにも僕にも庭のブルーベリーの葉っぱにも同じように優しいからね。僕はお日様がえこひいきするのを見たことが無いもの。